メジャー1年目の日本人右腕が、ついに大台まであと一歩に迫った――。2025年8月8日(日本時間9日)、オリオールズの菅野智之投手が本拠地のアスレチックス戦に先発登板し、7回5安打1失点という文句なしの投球内容でチーム最多9勝目を挙げました。ルーキーイヤーでエース級の働きを見せる菅野が、メジャー初の2ケタ勝利へ王手をかけた一戦を詳しく振り返ります。
この日の菅野は、中5日というコンディションでしっかりと修正し、序盤からテンポよく攻めのピッチングを展開。初回はわずか2球であっという間に2アウトを奪取。さらに、打撃好調で7月にルーキー史上初の1試合4本塁打を放ったアスレチックスの主砲・カーツを見逃し三振に仕留め、スタンドの雰囲気を一気にオリオールズペースへと引き寄せました。

その裏、頼れる“女房役”ラッチマンの先制2ランなど打線が2発で援護点を奪取。打線と投手陣の噛み合った理想的な展開で3点のリードをもらった菅野は、以降も落ち着いてゲームを作り続けます。3回にはノーアウト1・2塁のピンチを招きましたが、冷静に1番・コルテスを二ゴロ併殺。さらに2死1・3塁、再びカーツとの対戦も内角低めの抜群のコントロールで見逃し三振。力ではなく制球力と勝負強さでピンチを切り抜けた投球が光りました。
5回に中犠飛で1点を失いはしたものの、それ以外は危なげない投球。6回、二死1・2塁の場面ではハネズを遊ゴロ、7回二死1塁で迎えた最後の打者・コルテスも二ゴロに仕留めてマウンドを降りました。球数は91球、うち4奪三振3四死球、防御率もこれで4.24まで良化。約2カ月ぶりとなった7イニングの熱投は、チームからもファンからも大きな拍手で称えられました。なお、この日記録した最速は94.4マイル(約151.9キロ)。全盛時を彷彿とさせるキレと切れ味のある投球でした。
【PR】DMM.com証券の新規アカウント登録のお申込みはこちら
今シーズン、アメリカン・リーグ東地区最下位に沈むオリオールズですが、そんな中で菅野智之はゆるぎないエース格としてローテーションを守り抜いています。トレード期限を前に放出候補として名前が挙がったものの、残留が決定し、これまで以上にチームの勝利のために投げる覚悟がにじみ出ます。試合後、「流れのままに過ごしているという感じです。これまで通りローテーションを守って最後まで投げ切りたい」と語った菅野。そのプロフェッショナルな姿勢に、今後へのさらなる期待が膨らみます。
日本球界のエースが挑む、メジャー1年目での2ケタ勝利。その夢の瞬間が、もうすぐそこに迫っています。オリオールズ・菅野智之がどんな答えを見せてくれるのか――。シーズン後半戦の快進撃から、ますます目が離せません。