郵便局で転居届を申請した際に、氏名や住所などの個人情報が2枚目のNHK住所変更届に転写される仕様の用紙が配付されている――。1月上旬、SNS上でこの仕組みが話題となり、「個人情報詐取では?」「NHKと郵便局が結託している」といった疑問や懸念の声が数万件も寄せられました。

転写式用紙の仕組みと背景
日本郵便によると、この個人情報転写式用紙は20年以上前から導入されているもの。転居届に記載した情報が真下に配置されたNHKの住所変更届に自動的に転写され、そのまま三つ折りにしてポストに投函できる設計になっています。
導入時期は1997年11月の窓口取扱開始に遡りますが、現在の転写式は2004年10月から全国の郵便局で実施されています。日本郵便は導入目的について「利用者の利便性向上の観点から」と説明しており、記入の手間を削減することを意図したものとされています。
ユーザーの不安と懸念点
SNS投稿は2万9000件のリポスト、13万件の「いいね」を集め、拡散。「転居届を出した直後にNHKがピンポイントで訪問に来た」「テレビを持たない人まで個人情報が提供されるのでは」といった不信感が広がりました。一方で「記入の手間が省けるだけ」「必要ないなら剥がせば良い」という支持の声も存在します。
「郵便局の転居届を書こうとしたら、NHK住所変更届に自分の個人情報が自動転写される構造になっていた」とする投稿が拡散。「これは違法では?」「NHKに情報が勝手に伝わる?」「郵便局とNHKはグルなのか?」と疑念や不安の声が多数上がりました。実際に投稿には「引っ越し後すぐにNHKが訪問したのは、これ(転写式用紙)のせいでは?」といった体験談も見られます。
日本郵便からの公式見解
日本郵便本社広報部の回答によると、転居届とNHK住所変更届は「それぞれ個別に提出すべき用紙」であり、郵便局窓口での処理時に切り離して取り扱うとのこと。日本郵便が取得した個人情報をNHKを含む第三者に提供することはないと明言しています。
ただし、利用者が転居届の際に「転居事実確認に関する同意」に署名した場合は、転居の事実確認に必要な範囲で関係者(不動産会社、管理会社など)に転居情報が伝わる可能性があると説明。この同意事項の存在が、ユーザーの懸念につながっていると考えられます。
利用者が取るべき対策
懸念がある場合、郵便局窓口で「NHK住所変更届が付いていない転居届をください」と申し出ることで、通常の転居届のみの申請が可能です。また、転写式用紙を受け取った場合、その部分を切り取って提出しないという選択肢もあります。
本仕様は利便性を名目に導入されていますが、個人情報の取り扱いについては利用者が主体的に判断することが重要です。
「転居届を出したらNHKが来た」という経験談が後を絶たない中、転居手続き時には用紙のしくみや個人情報の扱いをしっかり確認し、不安な場合は窓口で相談した上で手続きを進めることが安心につながります。個人情報の保護や公共サービスの透明性を考える上で重要な注意喚起となりそうです。

